- 住宅ローン滞納…保証会社が代位弁済してしまったら、もはや競売になるしかない?
- 競売を申し立てられたら、もはや逃れる道はない?
- 任意売却はいつまでできるのか?
- 競売の流れを知りたい
住宅ローンを滞納し続けるとご自宅を競売にかけられてしまいます。何とか競売を回避して任意売却でマイホームを売却することはできないのでしょうか?
以下では、競売を避けるための「任意売却」と、いつまで任意売却できるのかというタイムリミットについて、ご説明します。
1.住宅ローン滞納後競売までのタイムスケジュール
まずは住宅ローンを滞納してから家が競売で強制売却されるまで、どのような流れになるのかみてみましょう。
1-1.住宅ローン滞納と督促
住宅ローンを滞納すると、借入先の金融機関から督促が行われます。まずは電話連絡から始まり、放っておくと催促状がご自宅に届きます。
1-2.期限の利益喪失と残ローンの一括請求書が届く
それでも放置していると、滞納機関が3~6か月分くらいになったときに、内容証明郵便で「(期限の利益喪失に伴う)残ローンの一括請求書」が送られてきます。
期限の利益とは、一定期限の中で分割返済できるという権利をいいます。たいていの住宅ローン契約では、3か月から6か月分のローンを滞納したときに期限の利益がなくなり、そのときのローン残債を一括払いしなければならない約束になっています。
1-3.代位弁済
一括請求書が届いても、当然一括の支払いができません。放置していると、保証会社がローンの残額と利息を代位弁済します。その後は債権者が保証会社に移り、ローン残債の元本と利息、遅延損害金の一括払いを請求してきます。
1-4.競売申し立て
保証会社からの請求に応じないでいると、保証会社が裁判所で競売の申立を行います。
競売の申立てにより担保不動産の差押が行われ、裁判所から「差押通知書」が届きます。差押とは、債権者の権利保全の為、所有者が勝手に不動産を売却できないようにするための処置です。差押されると差押された旨が不動産の登記簿謄本に記載されます。
住宅ローン滞納後10か月くらいが経過した時点です。
1-5.競売開始決定通知
裁判所から担保不動産競売開始決定通知が届きます。この書類は債務者が担保不動産を競売にかけることを裁判所に申し立て、裁判所がそれを受理しました。という通知です。
この通知により競売のタイムリミットは一気に縮まってしまいます。このまま放置すれば6ヶ月以内に競売で強制的に売却されご自宅から引っ越さないといけません。退去を拒めば法的な引き渡し命令により、強制退去となります。
1-6.現況調査
競売が始まると、裁判所の執行官が不動産の現況調査に訪ねてきます。外観と室内を確認し写真を撮影したりします。この行為は裁判所の権限で強制的に行われ、立入りを拒絶することはできません。現況調査が行われるのは競売の申立があってから1~3か月程度が経過したタイミングです。
1-7.期間入札開始の通知
裁判所から、競売の入札期間と開札日が書かれた通知書が送られてきます。現況調査から期間入札通知までは2~4か月程度です。
その後物件情報が公開され、物件の資料がインターネットで誰もが閲覧できる状態となります。
1-8.期間入札
入札希望者が裁判所で入札を行います。入札期間は裁判所によって異なりますが、おおむね1週間程度です。
1-9.開札と売却許可決定
もっとも高額な金額で入札した人が落札して、裁判所が「売却許可決定」を出します。その後落札者が代金納付、落札者に物件の所有権が移って不動産の所有権移転登記が行われます。
1-10.明け渡し
明け渡しについては、基本的に落札者が自己責任で行います。ただし元の所有者が明け渡しに応じない場合には、裁判所によって強制退去を命じられるケースもあります。
以上のように、競売申し立てから終了(引き渡し)までは、半年かそれ以上かかることが多いです。そこで住宅ローンを滞納し始めてから競売が終了するまでには長い場合では1年くらいです。
2.競売終了後の残債について
不動産の落札者が納付した代金は全額、保証会社などの債権者に支払われます。市場価格より低い価格で落札された場合は多くの残債が残ります。任意売却であれば圧縮できたであろう部分ですが、保証会社は残債の支払いを請求してきます。
つまり競売が終わって家がなくなっても終わりではなく、さらにそこからも借金返済の督促が続いてしまいます。
最終的に競売後の残ローンを支払えなかったら、自己破産しなければならない可能性も出てきます。
3.残債少なくする方法は?
競売にかかって家がなくなっても多額のローン残債が残ってしまう
そんな事態を回避するには、どうしたら良いのでしょうか?
この場合にもっとも効果的な方法が「任意売却」です。
任意売却とは、金融機関の承諾を得て、オーバーローンの物件を一般の不動産市場で市場価格で売却する方法です。
競売になると、多くのケースで一般の不動産市場価格より売却価格が低くなってしまい、7割やそれ以下になってしまうことも多々あります。すると物件が落札されてもローンを完済できず、多額の残債が残ってしまう可能性が高くなります。
一方任意売却では、一般の不動産市場において市場価格で売れるので、競売より高く売れることが多いです。
するとローンをより多めに返して残債を減らせますし、うまくいけば残ローンを完済することも可能となります。そこで、残債を残さないためには、できる限り競売ではなく自主的に任意売却すべきです。
4.任意売却はどのタイミングまで可能か
それでは、任意売却はいつまでできるのでしょうか?保証会社が代位弁済した後や競売申立後でも間に合うのでしょうか?
4-1.理論的には「開札日の前日まで」可能
実は、任意売却は競売手続きの「開札日の前日」まで可能です。
競売申立どころか、現況調査が行われて期間入札の通知があって、期間入札が行われていても、「開札」さえまだであれば、債権者は競売申し立てを取り下げることが可能です。
4-2.実際には開札日前日ぎりぎりだと難しい
ただし、実際には開札日前日ぎりぎりに「売れました」と言っても、金融機関が競売を取り下げてくれる見込みは小さいです。
もっと前の段階で、しっかりと金融機関と協議しながら任意売却を進め、余裕をもったタイミングで家の売却を済ませてこそ、競売を取り下げてもらえます。
5.任意売却をあきらめないで
開札日前日ぎりぎりでは難しいとはいえ、理論的にはそのような競売終了直前のタイミングまで任意売却可能というのは驚きではないでしょうか?
実際に住宅ローンを滞納された方は、保証会社が代位弁済したり競売の申立をされたりしたらその時点であきらめてしまい、任意売却のことなど考えなくなってしまうことが多いです。しかしその段階ならばまだまだ巻き返しの可能性が充分にあります。
早急に任意売却に取りかかれば、思いがけず高い価格で家が売れてローンを完済できる可能性が高くなります。
住宅ローンを滞納して追い詰められていても諦める必要はありません。当相談室がお助けいたしますので、お困りでしたらお早めにご相談ください。